#ISSUE16
2023.03
人の想いでお湯を守り、街を盛り上げる “温泉のデパート” 登別温泉街
新千歳空港から車で約1時間、札幌市の南側に位置する登別温泉は、豊富な泉質で知られ、「温泉のデパート」とも称されてきました。そんな登別温泉街では、観光協会や商店街、温泉街の宿、住民の皆さんが一丸となって、地域の宝である温泉を守り、温泉街を盛り上げる活動をしています。そんな登別温泉の魅力と取り組みを紹介します。
#ISSUE16
2023.03
01 異なる泉質は9種類。日本屈指の名湯・登別
1858(安政5)年から守られてきた名湯・登別温泉。クッタラ火山の爆裂火口跡にできた大湯沼を源泉に、1日1万トンと言われる自然湧出の湯が注がれる温泉街。硫黄泉を中心に、芒硝泉、鉄泉、食塩泉、明ばん泉など、9種類もの異なる泉質がある日本屈指の温泉地です。
温泉街の周辺は豊かな自然があふれ、四季折々の風景が旅情をかき立てます。岩肌にできた数多くの噴気孔からもくもくと湯気を上げる〈地獄谷〉は、大地の息づかいを感じさせる人気の観光スポット。そこから続く散策路を行けば、温泉が流れる川で天然の足湯を楽しむことも。花に囲まれる春、緑が萌える夏、紅葉に彩られる秋、そして温泉街が雪化粧を纏う冬と、どの季節に訪れても、感動の風景を見せてくれます。
また、温泉街のシンボルが地獄谷だけに、鬼が登別温泉のアイコン。温泉街のあちこちに、それぞれ御利益の異なる鬼がいて、お目当ての鬼を探しながら湯煙の中を散策するのも観光客の楽しみになっています。
02 温泉を生かした取り組みで地域の魅力をさらに高める
「登別温泉の魅力は、なんと言っても豊富な泉質です。9つすべての湯で、異なる匂い、色、肌触りを実感できます。もちろん、効能もいろいろ。ほかの温泉地とは比べものになりませんよ」。そう話すのは、源泉を管理する〈登別温泉株式会社〉の取締役、大宮一哉さん。「温泉をボーリングで掘り上げるのではなく、自然に湧いたものを自然流下で温泉街に届けています。湯量も十分。だから濃厚なお湯が楽しめるんですよ」と太鼓判を押します。
そんな大宮さんは、温泉街で組織する〈観光イベント委員会〉の委員長も務め、地域振興の旗振り役を担っています。「ここのお湯を守りながら、より多くの人に登別温泉の素晴らしさを知ってもらうため、どうやってアピールするか、みんなで一緒に考えてイベントの企画・運営を行っています」と話す大宮さん。
温泉や地獄谷、自然豊かな景観など観光資源を生かしたさまざまなイベントが、温泉街にさらなる魅力やにぎわいを創出しています。その仕掛け人となっているのは、大宮さんをはじめとする温泉街の人々。観光協会や商店街、温泉旅館やホテルなどで働く方々です。
03 地域にも愛される登別温泉に。ホテルゆもと登別のチャレンジ
登別温泉の入り口に位置する「ホテルゆもと登別」でも、スタッフが積極的に地域と関わり、温泉街を盛り上げるためにひと役も、ふた役も買っています。
登別温泉街では、いくつもの魅力的なイベントが開催され、それを目当てに多くの観光客が訪れています。中でも迫力満点なのが、〈地獄の谷の鬼花火〉。山肌から湯煙が立ち上る地獄谷でお湯を守る「湯鬼神(ゆきじん)」たちが大きな花火を放つ様は、まさに鬼気迫る雰囲気。
ほかにも温泉街で行われる、夏の〈登別地獄まつり〉や冬の〈登別温泉湯まつり〉はもちろん、地獄谷の足下を揺らめく灯りが彩る〈鬼火の路(みち)〉でも、ホテルのスタッフが裏方として地域の人たちと一緒に奮闘しています。
さらに、以前からホテルで力を入れているのが、地元の子どもたちを招待する「入浴体験」です。幼稚園や小学校単位でご招待し、子どもたちに温泉の体験を提供。地元の誇りである登別温泉に親しむきっかけ作りをしています。
「ここで体験した温泉の思い出がきっかけとなり、子どもたちが成長し大人になったとき、友達や恋人、新しい家族を連れて、また登別温泉に行きたいと思ってもらえたら。たとえそれが20年後、30年後になっても、未来に繋がってくれるならうれしいですね」と鈴木課長は目を細めます。
04 多様な滞在スタイルを叶え付加価値を高める老舗ホテル
ホテル館内に入ると、ふわっと温泉特有の香りに包まれる「ホテルゆもと登別」。長きにわたって地域との関わりを大切にしてきました。そしていま、多様化する滞在スタイルへのニーズに応え、より幅広い客層にアプローチしようと、一部客室を大幅にリニューアル。2023年3月から宿泊が可能に。
「今回、温泉とサウナを備えた客室を3部屋、和洋室2部屋、ワーケーションにも最適な洋室を2部屋リニューアルしました。客室で自由にサウナを楽しんだり、快適な空間でお仕事に集中していただけたりと、温泉ホテルの新しい滞在スタイルを提案できたら」と鈴木課長。
〈登別牛〉や〈登別豚〉など地元のブランド食材をふんだんに取り入れた夕食がお部屋で楽しめるスタイルはそのままに、大浴場では4種類の温泉が堪能できるほか、客室でもプライベートな温泉入浴が可能になりました。
「温泉街や地獄谷のほかにも、クマ牧場や倶多楽湖への散策、少し足を伸ばせば、テーマパークや自然体験ができる施設も豊富です。1泊ではもったいない。ぜひ2〜3泊していただき、余すところなく登別温泉を楽しんでいただきたいですね」。
これからも「ホテルゆもと登別」は、地域とお客様に愛される登別温泉を目指し、温泉街のみなさんと手を携えて歩みを進めてまいります。
ホテルゆもと登別
ホテルゆもと登別の温泉は「100%源泉掛け流し」。硫黄泉をはじめとする、効能・泉質の異なる3種類の源泉と1種類の混合泉を引き入れた浴槽では、それぞれの効能をじっくりとお楽しみください。また、夕食はお部屋で新鮮な山海の幸を盛り込んだ心づくしの旅の膳をご堪能ください。
特別室 「天然温泉&サウナ付き客室」
2023年3月、登別エリア初の温泉付き特別室がリニューアル誕生!客室内に天然温泉とサウナが付いた 特別室「天然温泉&サウナ付き客室」は、周りを気にすることなく掛け流しの硫黄泉とセルフロウリュを24時間お楽しみいただけます。心も体もリラックスできる70㎡の広々とした客室でごゆっくりとお過ごしください。